3-理系人間の企業での活躍

産業界では,理系人間はどのように活躍するでしょうか

(就職担当 望月教授から)

理系と言えば,医学,農学,理学,工学などが含まれますが,その中で最多数が工学であり,高専も基本的に工学の学校です.ということで,「理系人間」というタイトルを付けた文章です.

ここから先は工学に限ってお話をします.

どこかの会社のキャッチフレーズに「夢をかたちに◇◇◇」というのをよく見かけませんか? (◇◇◇は,富士通が有名ですが,他にも例が見られます) その夢が,スマホを持つことだとか,高速に移動することだったりしたら,スマホや車といった「製品や装置」をつくることが夢をかなえることになります.このような,物質的な夢をかなえるのが,工学を学んだ人たちです.

ただし,叶えることができる夢は物質に限られるものではありません.例えば映画のようなアート作品を作るには,カメラやレコーダーといった「装置」があるのが前提です.

一言で物を作ると言っても広いのですが,ものを作ってお客様に使って頂くまでを細かく分析するといくつかの仕事に分けて考えることができます.(キヤノン様とアンリツ産機様のパンフレットを参考にして書きました)

・探る(研究/開発 : 新しい素材,新しい素子,新しい方式など,先端技術を究めます)

・創る(開発/設計/試作 : 試作器を作ります)

・造る(製造/量産 : 消費者に届けるための機器を作ります.量産します)

・自社を支える(知的財産管理/品質技術/施設管理 : 技術力を支えたり,工場を維持・発展させます)

・お客様を支える(SE/設置/保守 : お客様のところに出向いて,要望を聞いたり,機器を設置したり,設置した機器の定期点検や修理をします)

(一般的には,どの職種でも同じ会社内ならば同じ給料です.研究や開発が特に高給ということはありません.)

高専から直ぐに社会に出た場合,高専OBは上記5つのうちの最初の1つを除くどの仕事にも就けるのが普通です.

最初の一つ(探る)は,研究所を持つような会社は有名な大企業なのが普通であり,そうした大企業には大卒(というよりも大学院卒)が多数応募しますので,残念ながら「最終学歴が高専」という者には就けないのが普通です.(もっと言えば,それは大学院を出たとしても,就職試験と配属先振分けという二つのハードルを超えないと就けません) 高専生には「大学に進学する」という道も開けていますので必要ならそれを生かしてください.

「最終学歴が高専」という人生は悪いものではないと,私(望月)は思います.そこそこ名前の知られた企業の研究部からの高専生の求人は普通にあります.

勿論,高専生が「最終学歴を大学(または高専専攻科)または大学院」とする人生も良いものです.社会に出る前に,技術を更に深めることができますし,大学ならではの縁を頂くこともできます.